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2025.02.07
コラム

【こころのこだわり】軒(のき)の大切さ

【こころのこだわり】軒(のき)の大切さ

弊社で造る家は軒(のき)の出を最大限出すように設計をしています。

軒って何?

「軒」とは、お家の屋根の中で、外壁や窓よりも出ている部分のことを言います。

軒の長さのことを、「軒の出」と言い、外壁から軒の先端(軒先)までの水平距離を指します。

 

近年、この軒の出がない、または短いお家が増えています。

シンプルでモダンなデザインとなり、コストも抑えられることが人気の要因と言えます。

 

 

ではなぜ、弊社が軒の出の長さにこだわるのか。

それは、軒の出の長い家には、実はメリットがたくさんあるからです。

 

 

 

軒って何?

メリット1:夏場の日射遮蔽

「日射遮蔽(しゃへい)」とは、夏場に窓から入ってくる太陽熱を遮ることを言います。

 

皆さまご存知のとおり、夏は冬に比べて、太陽の角度(南中高度と言います)が高くなります。

ちなみに、ここ筑前町で昨年の夏至と冬至で、正午の南中高度を調べたところ、下記のとおりでした。

・夏至(6月21日):75.97°

・冬至(12月21日):33.18°

南からの太陽光は下図のように家(窓)に当たっていることになります。

軒の出を長くし遮蔽することで、夏場の日射による室内に入る熱量を少なくすることができます。

反対に、冬場はしっかりと家の中に太陽の熱を取り込めるよう、その軒の出の長さには気を遣っています。

 

 

メリット1:夏場の日射遮蔽

メリット2:雨から外壁を守る

軒は、雨風からも外壁を守ってくれます。

台風などの横殴りの激しい雨は別として、通常空から降ってくる雨は、まず屋根にあたります。

軒の短い・軒のないお家の場合、その雨が屋根から外壁伝いやすくなります。

 

軒が長ければ、下図のように、雨水が外壁に直接伝うのを防いでくれます。

軒が大きな傘のような役割となって、外壁を雨水から守ってくれているのです。

 

 

メリット2:雨から外壁を守る

メリット3:雨漏りや外壁の劣化のリスクを軽減する

前述したとおり、軒の出が長い家は、太陽の光や、雨風などから外壁を守っています。

反対に、軒の出がない・短いお家はそうした自然からの刺激を受ける頻度が高いため、外壁は汚れやすく、劣化も早くなります。

 

 

外壁自身の塗膜の防水性が落ちることや、目地やサッシなどのシーリングなどが割れたりはがれたりすることで、そこから雨水が侵入する可能性もあります。

劣化や雨漏りによる修理や、メンテナンスなどの頻度も高まるため、結果的にお家を建てた後にかかる費用も大きくなるのです。

 

軒の出の長いことが、お家自身の住宅寿命を伸ばすことに繋がっているとも言えます。

 

メリット3:雨漏りや外壁の劣化のリスクを軽減する

メリット4:軒下空間の有効活用

軒の出を大きくすることで、軒下の空間を有効活用することができます。

 

▶玄関のアプローチに

軒下の空間をカーポートから繋がる玄関アプローチにすることができます。

そのため、雨の日でも車の乗り降りが快適にできます。

 

▶ウッドデッキの上に

ウッドデッキの上をほかの軒の出よりも少しだけ長くすることで、

夏の暑い日や雨の日でも、家族が集う場、子どもたちが遊ぶ場になりそうです。

 

メリット4:軒下空間の有効活用

もちろんデメリットも・・・

いいとこづくしの「軒」ですが、もちろん軒の出を長くすることによるデメリットもあります。

もちろんデメリットも・・・

デメリット1:室内が暗くなる?

前出した通り、軒には、太陽の光を遮る効果があります。

ただし、軒の出の長さを極端に長くすると室内に光が届きにくくなり、暗くなります。

室内が暗いことで電気をつける時間が長くなり、不要な電気代がかかってしまうことにも繋がります。

 

弊社では、その点を踏まえ、軒の出の長さを、お家ごとに立地や隣家との距離・方角などによって変えています。

また、LDKは勾配天井や高窓の設計とし、優しい光を取り込んで室内を明るく保つ工夫をしています。

 

 

デメリット1:室内が暗くなる?

デメリット2:建築費用が高くなる?

軒の出を長くすると、材料費や施工費用がかかるため、軒のない家と比べると建築費用は当然高くなります。

そのため、軒を出す分の費用を加算されるケースも多いです。

 

弊社では、軒のある家を標準としており、軒を出すことでの追加費用はかかりません。

(800mm以上の軒の出が必要の際は、別途加算させていただく場合もあります)

 

前述したとおり、家を建ててからの電気代やメンテナンス代を考えると、軒のある家の方が後々かかる費用を抑えられるとも言えます。

デメリット2:建築費用が高くなる?

デメリット3:外観が和風になりがち?

一般的には、和風テイストの家でしか軒は出せないと思われがちです。

 

結論から言うと、そんなことはありません。

ウッドデッキの造りや、屋根材の種類、塗装の色や外構などによって、洋風のお家にすることはできますのでご安心ください。

 

 

ただし、近年ブームとなっているキューブ型やモダンテイストの建物などには、どうしても軒は合わないため、弊社ではお造りが難しいです。

そもそも、欧州など雨が少ない地域から伝わってきたそうした外観は、雨の多い日本の風土に合わないという側面もあります。

 

 

デメリット3:外観が和風になりがち?

軒のある家

軒は、日本建築において古くから用いられており、社寺建築や神社仏閣などの意匠においても重要な役割を果たしています。

それは風雨の多い日本において、建物を守るために考え抜かれ、伝承されてきた大切な技術です。

 

その技術を大切に活かしながら、立地やお客様のご要望に合わせて工夫し、長く住まえるお家づくりをしていくことが、大切なことだと弊社は考えます。

軒のある家